桜のお花見の意味とは?
桜のお花見の意味や由来は?簡単に子供に伝えるには?2
一方、庶民にとってのお花見は貴族と違った意味合いがありました。
もともと、花見の習慣そのものは、
嵯峨天皇が開催した平安時代よりもさらに前、
奈良時代には既に存在していたのです。
この頃の花見は花の美しさを楽しむ、
というよりも神事としての意味合いがありました。
桜は、田の実りを司る「サ神」様が座る場所という
意味の「クラ」が組み合わさり、「サクラ」と呼ばれるようになった
というのが主流の説。
だんだん暖かくなる時期に花を咲かせるので、
田植えを始める時期の目安としても重宝されました。
さらに、花見の対象が桜となる前の梅は別名「春つげ草」とも言い、
春の訪れを告げる花。
現在のように正確な気温を知る術がない昔であれば、
梅や桜は、田植えのタイミングを計るのに
重要な花だったと想像がつきます。
特にこの頃は、庶民のほとんとが自給自足だった時代なので、
田植えができないことが、そのまま食料難に繋がります。
田植えの時期を知らせる桜は田植えを司る神様の特別な場所として、
大切にされたのは当然の成り行きだったのかもしれません。
実際、神事として特色が強かった頃は、
桜が咲くのはサ神が天から降りてきた
サインと考えられていました。
花の根元に食べ物などをサ神へお供えし、
秋の豊作を願ったのです。
また、お供え物は神様に捧げられた特別なもの。
お供えした後の食べ物は、下げた後は皆で分け合いましたが、
これはサ神の力を体へ宿したり、汚れを祓う狙いがありました。
この考え方は現在でも、お供え物や鏡餅などに
通じる物がありますね。
時代の流れの中で、農業の生産性が向上し、
サ神の信仰は薄れましたが、桜の下で美味しい物を
食べて楽しむ習慣だけは残ってきたのです。