【年賀状はいつから始まったのか】
日本の文化・風習の一つとして、年賀状は深く根付いてます。会う機会が絶えて久しい友人などから届く新年の便りは、嬉しいものです。
最近は、メールやSNSなどのメッセージを用いる人も増えています。日本郵便によると、年賀状の代名詞ともいえる「お年玉付郵便はがき」の発行枚数は、2004年用の約44.6億枚をピークに年々減少が続き、ここ数年は20億枚台まで低下しました。
しかし、ハガキで届く挨拶には温もりが感じられ、年賀状を大切に思っている人は今もなおたくさんいます。その年賀状という慣例は、いつから始まったものでしょうか。その歴史を探ってみましょう。
【年賀の歴史】
人類史上には、古代より年賀を祝う風習が各地であったようです。人類初の文明を持ったといわれるメソポタミアでも、宗教的な新年行事が行われていたとされています。
古代の社会で『1年』という概念が生まれた背景には、狩猟採集型から農耕牧畜型社会へと発展したことがあげられます。農作物を育てる上で、季節を考慮することが重要だと気付いたからです。
その後、天文学が発達すると、1年は『365日』であることが分かってきます。これは、農耕牧畜型の生活をする上で、より細かく生産活動に取り組める貴重な発見でした。
キリスト教の広まりで共通の暦が使用されるようになると、『月』『日』『曜日』という規定が誕生します。そして、1月1日を節目ととらえるようになり、新年という考え方が定着していったのです。
日本における年賀の歴史も食糧生産と暦が密接に関わっており、その風習は今も受け継がれていると言えるでしょう。
【年賀状の変遷】
日本の年賀状の形といえば、切手に変わる朱色のプリントがなされたスタイルが、ポピュラーです。そのようなデザインの年賀状は、どのような歴史をたどってきたのでしょうか。
スタンプを押す消印を廃止して現在の形になったのは、1961年のことです。その後、増加する郵便物の処理スピードを上げるため、68年に郵便番号制度が導入され、ほぼ現在のスタイルになりました。
75年には配達数が25億枚にまで達した年賀状は、出す側の労力軽減へのニーズも高まります。そして、79年頃からは、文字や写真を印刷した年賀状が普及し始めます。
その年賀状も、人間関係のあり方の変化や、携帯端末の進歩による通信手段の発達などにより近年は減少傾向が加速しています。